
行政書士 香椎綜合法務事務所
行政処分に適正手続きで向き合い
権利利益を守る行政手続きの専門家
風営法違反を指摘され、行政処分が問題となったら
風営法に関する違反を指摘された場合、行政庁から不利益処分を受ける前に、法律上「弁明の機会」が与えられる場合があります。
弁明とは、単に、
「申し訳ありませんでした」
と謝罪するための手続ではありません。
行政庁が認定している事実について、
-
本当にその事実が存在するのか
-
事実認定に誤りがないか
-
誰が行った行為なのか
-
営業者本人がどこまで関与していたのか
-
適用される法令は何なのか
-
法律上の処分要件を満たしているのか
-
処分基準に照らして適切なのか
-
改善措置や再発防止策など、考慮すべき事情はないか
などを整理し、行政庁に対して自分の主張を伝えるための重要な手続です。
行政手続法29条では、弁明は原則として弁明書を提出して行い、証拠書類等を提出できることが定められています。
当事務所では、風営法に関する行政処分について、事実・証拠・法令・処分基準・個別事情を整理した上で弁明を行うことを重視しています。
※初回の電話相談は無料です。
弁明とは?
行政手続法では、不利益処分を行おうとする場合、一定の場合を除いて、行政庁は事前に意見を述べる機会を与えることとされています。
行政手続法13条では、
-
一定の重大な不利益処分 → 聴聞
-
それ以外の不利益処分 → 弁明の機会の付与
という区分が基本になっています。
そして風営法第41条により聴聞の特例としており、上記行政手続法の特例を規定しております。
それによると、
・許可取消し、営業停止などの処分→聴聞
・それ以外の処分(指示処分)→弁明の機会の付与
となります。
風営法では「聴聞」と「弁明」を区別することが重要です
風営法の行政処分を考える場合、
聴聞と弁明を同じものとして扱わないこと
が非常に重要です。
例えば、風営法26条に基づく営業停止命令については、風営法41条に特例があり、行政手続法13条の手続区分にかかわらず、公安委員会は聴聞を行わなければならないとされています。
一方で、福岡県警が公開する風営法25条の指示処分の処分基準では、指示処分を行う場合に弁明通知書を交付し、弁明の機会を付与することが明記されています。
したがって、
「風営法違反を指摘された=必ず弁明」
というわけではありません。
どの条文に基づく、どのような不利益処分が予定されているのかを確認し、その処分に対応する意見陳述手続が聴聞なのか、弁明なのかを確認する必要があります。
どのような場合に弁明が問題になるのか
行政手続法13条では、許認可等の取消しなど一定の重大な不利益処分については聴聞が原則となり、それ以外については弁明の機会の付与が基本となります。
風営法についても、処分の根拠条文や処分の内容によって手続が異なります。
例えば福岡県警の処分基準では、
風営法25条
風俗営業者に対する指示処分
について、弁明の機会を付与する手続が明示されています。
一方、
風営法26条1項
風俗営業の許可取消し・営業停止命令
については、風営法41条によって聴聞が必要となります。
そのため、行政から通知を受けた場合には、まず、
「どの処分を予定しているのか」
を確認することが重要です。
弁明通知書を受け取ったら
行政手続法30条では、弁明の機会を与える場合、行政庁は相当な期間をおいて、次の事項を通知することとされています。
① 予定される不利益処分の内容
どのような処分を予定しているのか。
② 根拠となる法令の条項
どの法律・条文を根拠として処分を予定しているのか。
③ 不利益処分の原因となる事実
どのような事実を問題としているのか。
④ 弁明書の提出先
どこに弁明書を提出するのか。
⑤ 弁明書の提出期限
いつまでに弁明書を提出する必要があるのか。
これらが弁明通知書に記載されます。
弁明通知書を受け取ったら、まず確認すること
弁明通知書が届いた場合、まず次の事項を確認してください。
□ 予定されている処分は何か
指示処分なのか、それ以外の不利益処分なのか。
□ 根拠条文は何か
どの法律・条例・規則等を根拠としているのか。
□ 原因となる事実は何か
行政庁が問題としている具体的事実は何なのか。
□ 提出期限はいつか
弁明書の提出期限を確認します。
□ 証拠資料はあるか
行政側の認定事実と自分が認識している事実を比較します。
弁明で重要なのは「何を言うか」だけではありません
弁明では、
「違反していません」
「知りませんでした」
「従業者が勝手にやりました」
などと述べるだけでは十分ではありません。
重要なのは、
その主張をどのような事実と証拠によって裏付けるのか
ということです。
例えば、
「従業者が独断で行った」
と主張するのであれば、
-
誰がその行為を行ったのか
-
営業者はどこまで認識していたのか
-
営業者からどのような指示をしていたのか
-
従業者の管理体制はどうなっていたのか
-
問題発覚後にどのような措置を取ったのか
-
再発防止策を講じたのか
などを具体的に整理する必要があります。
弁明では「事実認定」を検討する
行政処分を受ける前の段階では、
行政庁が認定している事実が本当に正しいのか
を検討することが重要です。
例えば、
行政側の認定
「○月○日に、従業者Aが○○行為を行った」
↓
確認する事項
-
本当にAが行ったのか
-
日時は正確なのか
-
場所はどこなのか
-
誰が確認したのか
-
どのような証拠があるのか
-
営業者は認識していたのか
↓
こちら側の証拠
-
店舗記録
-
シフト表
-
防犯カメラ
-
LINE等の記録
-
売上資料
-
従業者の説明
-
その他関係資料
という形で、事実認定を具体的に検討します。
「違反事実」と「処分」は分けて考える
ここも重要です。
仮に一定の違反事実が存在するとしても、
「その違反が存在する」
ことと、
「どのような行政処分をするのが適切なのか」
は別の問題です。
そのため、弁明では、
① 違反事実そのものについての主張
と、
② 仮に一定の違反が認められる場合の主張
を分けて整理することが重要です。
例えば、
「そもそも処分原因となる事実が存在しない」
という主張と、
「仮に一定の事実が認められるとしても、今回の事情を踏まえれば、予定されている処分は過重である」
という主張は別々に構成できます。
処分基準との関係も確認する
風営法の行政処分を検討する場合には、福岡県公安委員会の処分基準を確認することが重要です。
福岡県警は、風営法について、
-
第8条
-
第25条
-
第26条第1項
-
第26条第2項
-
その他の規定
に関する不利益処分基準を公開しています。
さらに、福岡県警は2026年2月、風営法改正等に伴う処分基準の一部改正を行っています。
そのため、弁明を行う場合には、
「何をしたか」
だけではなく、
「その事実に対して、福岡県公安委員会の基準上どのような処分が予定されるのか」
を確認することが重要です。
弁明で検討する6つのポイント
当事務所では、弁明を検討する場合、主に次の6つの観点から整理します。
① 事実
何が起きたのか。
② 証拠
その事実を裏付ける資料は何か。
③ 法令
どの法律・条項が問題となるのか。
④ 処分要件
その処分をするための法律上の要件を満たしているのか。
⑤ 処分基準
福岡県公安委員会の処分基準に照らしてどう評価されるのか。
⑥ 個別事情
改善状況、再発防止策、営業者の関与の程度、過去の処分歴その他の事情をどう評価するのか。
この6つを整理したうえで、弁明書を作成します。
弁明書は「作文」ではありません
弁明書を作成するとき、
「私は悪くありません」
「今後気をつけます」
という感情的な文章だけでは、行政庁に対する法的な主張として十分とはいえません。
重要なのは、
行政庁が何を問題としているのか
↓
その根拠となる事実は何か
↓
その事実は正しいのか
↓
その事実を裏付ける証拠は何か
↓
どの法令が適用されるのか
↓
処分要件を満たしているのか
↓
処分基準上どう評価されるのか
↓
個別事情をどう考慮すべきか
という順番で整理することです。
弁明では証拠書類を提出できる
行政手続法29条2項では、弁明をするときに証拠書類等を提出することができるとされています。
したがって、弁明では、必要に応じて、
-
契約書
-
営業記録
-
シフト表
-
従業者関係資料
-
防犯カメラ映像
-
写真
-
メッセージ履歴
-
改善措置に関する資料
-
再発防止策
-
社内ルール
-
従業者への指導記録
-
その他の関係資料
などを検討します。
重要なのは、
「証拠をたくさん出すこと」ではなく、「どの主張を、どの証拠で裏付けるのか」を明確にすること
です。
弁明書の基本的な構成
弁明書を作成する場合には、例えば次のような構成が考えられます。
1.弁明の趣旨
予定されている不利益処分について、どのような判断を求めるのかを明確にします。
2.事案の概要
問題となっている事実関係を整理します。
3.行政庁が認定している事実
弁明通知書等に記載された事実を確認します。
4.認定事実に対する認否
どの事実を認め、どの事実を争うのかを明確にします。
5.事実関係についての主張
実際には何が起きたのかを具体的に説明します。
6.証拠
主張を裏付ける資料を示します。
7.法令の適用
問題となる法令・条項について検討します。
8.処分要件
予定されている処分の要件を満たすのかを検討します。
9.処分基準・量定
福岡県公安委員会の処分基準等との関係を検討します。
10.個別事情
改善状況、再発防止策その他の事情を整理します。
11.結論
予定されている処分について、どのような判断を求めるのかを明確にします。
ただし、具体的な主張構成は、事案の内容によって異なります。
「違反していない」という主張だけではなく、予備的な主張も検討する
行政処分の案件では、主張を一つだけに絞るのではなく、場合によっては、
主位的主張
「処分原因となる事実が存在しない」
↓
予備的主張
「仮に一定の事実が認められるとしても、予定される処分は相当ではない」
というように、段階的に主張を構成することも考えられます。
これは、
事実認定の争い
と
処分の量定・相当性の問題
を分けて検討するためです。
ただし、具体的な主張構成は、事案の内容によって異なります。
弁明を行わなかったらどうなる?
弁明の機会を与えられたからといって、必ず弁明しなければならないという意味ではありません。
しかし、
行政庁が予定している処分について、自分の認識・主張・証拠を伝える重要な機会
であることには変わりありません。
弁明書を提出しない場合には、行政庁側が把握している資料を中心として処分が判断される可能性があります。
そのため、予定されている処分に異議があるのであれば、
何を争うのかを整理したうえで、期限内に適切な対応を検討すること
が重要です。
弁明の後に行政処分が行われる場合
弁明を行ったとしても、
必ず処分がなくなるわけではありません。
弁明は、行政庁に対して事実・証拠・法令・個別事情を示し、その判断に反映させるための手続です。
したがって、
「弁明をしたから処分されない」
という保証はありません。
重要なのは、
処分前に、自分の側から必要な主張と証拠を適切に提出しておくこと
です。
それでも行政処分がされた場合
弁明を行ったにもかかわらず行政処分がされた場合には、処分の内容によっては、
-
審査請求
-
執行停止
-
その他の行政上の救済手段
などを検討することがあります。
審査請求では、
処分前の弁明で何を主張したのか
だけでなく、
行政庁が最終的にどの事実を認定し、どの法令を適用し、どのような理由で処分をしたのか
を確認することが重要になります。
当事務所では、
弁明 → 行政処分 → 審査請求
という一連の流れを見据えて対応します。
福岡県の風営法行政処分に対応しています
当事務所は、福岡県を中心に、風営法に関する行政手続を取り扱っています。
特に、
-
風営法違反を指摘された
-
指示処分を受ける可能性がある
-
弁明通知書が届いた
-
行政庁から弁明を求められた
-
営業停止が問題となっている
-
許可取消しが問題となっている
-
聴聞の通知を受けた
-
行政処分を受けた
-
審査請求を検討している
といった場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。
弁明のご相談で確認する資料
ご相談の際には、可能であれば、
-
弁明通知書
-
行政庁から受け取った書類
-
処分に関する通知
-
警察から交付された資料
-
関係する契約書
-
営業記録
-
従業者関係資料
-
写真・映像
-
その他関係資料
などをご準備ください。
資料を確認することで、
行政庁が何を問題としているのか
を具体的に把握しやすくなります。
こんな方は早めにご相談ください
-
「弁明通知書」が届いた
-
風営法違反を指摘された
-
指示処分を受けそうだ
-
行政庁から説明を求められた
-
認定された事実に納得できない
-
自分の認識と行政側の認定が違う
-
従業者の行為について問題になっている
-
処分基準上どのような処分になるのか知りたい
-
弁明書をどう書けばいいかわからない
-
どの証拠を提出すればいいかわからない
-
弁明の期限が迫っている
-
弁明後の行政処分まで見据えて対応したい
弁明は「最後の謝罪」ではありません
弁明は、
「すみませんでした」と謝るためだけの手続ではありません。
行政庁が認定している事実を確認し、
事実
↓
証拠
↓
法令
↓
処分要件
↓
処分基準
↓
個別事情
という順番で検討し、自分の主張を行政庁に伝えるための手続です。
だからこそ、
「何を言うか」
だけではなく、
「なぜそう言えるのか」
「それを裏付ける証拠は何なのか」
まで考える必要があります。
行政処分に、適正手続で向き合う。
風営法の行政処分において重要なのは、行政庁と対立することではありません。
処分の根拠となった事実を確認する。
証拠を確認する。
法令を確認する。
処分要件を確認する。
処分基準を確認する。
個別事情を確認する。
そのうえで、自分の主張を適切な手続によって伝える。
当事務所は、
「行政処分に適正手続で向き合う」
という考え方を大切にしています。
風営法の弁明・聴聞・営業停止・許可取消し・審査請求など、行政処分に関することでお悩みの方は、できるだけ早い段階でご相談ください。