
行政書士 香椎綜合法務事務所
行政処分に適正手続きで向き合い
権利利益を守る行政手続きの専門家
警察からの行政指導に「おかしい」と感じたとき
風営法に関する営業を行っていると、
-
警察から営業方法について改善を求められた
-
「このままでは問題になる」と指摘された
-
特定の営業方法をやめるよう求められた
-
書類の提出や設備の変更などを求められた
-
事実関係について十分な確認がないまま、法令違反を前提とした指導を受けた
-
今後、営業停止などの行政処分につながるのではないかと不安を感じている
といった場面に直面することがあります。
行政からの指摘や要請だからといって、すべてが直ちに「行政処分」というわけではありません。
一方で、行政指導が法令上の要件を超えて行われている場合や、法令違反を前提とした行政指導であるにもかかわらず、その前提となる事実や法的要件に問題がある場合には、適切な方法で行政に対して意見を示すことが重要になります。
そのための制度の一つが、**「行政指導の中止等の求め」**です。
※初回の電話相談は無料です。
1.「行政指導の中止等の求め」とは?
行政手続法第36条の2には、「行政指導の中止等の求め」という制度が定められています。
これは、一定の要件を満たす行政指導を受けた者が、
「その行政指導は、法律に定められた要件に適合していないのではないか」
と考えた場合に、行政指導をした行政機関に対して、その旨を申し出て、行政指導の中止その他必要な措置を求めることができる制度です。
単に「行政の言うことに納得できない」というだけでは足りません。
重要なのは、
①どのような行政指導なのか
②その行政指導の根拠となる法律は何か
③その法律が定める要件は何か
④今回の行政指導が、その要件に適合していないのはなぜか
という点を具体的に整理することです。
2.風営法の行政指導でも問題になるのか?
風営法の分野では、営業者に対して警察から様々な指摘・要請・指導等が行われることがあります。
ただし、ここで重要なのは、
「警察から言われたから行政指導である」
と単純に判断することではありません。
実際に何が行われたのか、
-
誰が行ったのか
-
どのような内容だったのか
-
どの法令を根拠としているのか
-
法令違反の是正を求めるものなのか
-
任意の協力を求めるものなのか
-
将来の行政処分を前提とするものなのか
-
既に正式な意見陳述手続が開始されているのか
などを確認する必要があります。
特に風営法では、行政指導と、風営法に基づく正式な「指示」や「営業停止命令」「許可取消し」などの不利益処分を区別して考えることが重要です。
福岡県警察も、風営法第25条に基づく「指示」や、第26条に基づく「許可の取消し・停止命令」などについて、個別の不利益処分基準を公表しています。
つまり、
行政指導
↓
指示等の正式な行政処分
↓
営業停止・許可取消し等
↓
審査請求等
という流れが問題となることがあります。
だからこそ、処分が出てから対応するのではなく、処分に至る前の段階で行政対応を検討することが重要です。
3.行政指導の中止等の求めができる主な要件
行政手続法第36条の2では、行政指導の中止等の求めについて一定の要件が定められています。
① 法令違反行為の是正を求める行政指導であること
対象となるのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導です。
さらに、その行政指導の根拠となる規定が法律に置かれていることが必要です。
したがって、すべての行政上の要請や相談が対象になるわけではありません。
② 行政指導が法律上の要件に適合していないと思料すること
単に、
「納得できない」
「厳しすぎる」
というだけでは足りません。
行政指導の根拠となる法律を確認し、
法律が定める要件と、実際の事実関係を照らし合わせて、行政指導が要件に適合していない理由を示す
ことが重要になります。
例えば、
-
そもそも法令違反となる事実が存在するのか
-
行政側が把握している事実に誤りがないか
-
法律上の要件を満たしているのか
-
条例・規則等との関係はどうか
-
適用される条項を誤っていないか
などを検討します。
③ 原則として、行政指導をした行政機関に申し出ること
行政手続法第36条の2では、行政指導をした行政機関に対して申し出ることとされています。総務省のQ&Aでも同様の整理がされています。
したがって、単に別の行政機関へ苦情を申し立てる制度ではありません。
誰が行政指導を行ったのか、どの機関がその行政指導について対応すべきなのか
を確認することが重要です。
4.申出書には何を書くのか?
行政手続法第36条の2第2項では、申出書に記載すべき事項が定められています。
主な内容は次のとおりです。
① 申出人の氏名・名称・住所・居所
営業者本人や法人等について必要事項を記載します。
② 行政指導の内容
「いつ、誰から、どのような行政指導を受けたのか」を具体的に整理します。
③ 行政指導の根拠となる法律の条項
行政機関がどの法律・条項を根拠としているのかを確認します。
④ その法律に規定された要件
単に条文を引用するだけではなく、その条項がどのような要件を定めているのかを整理します。
⑤ 要件に適合しないと思料する理由
ここが最も重要な部分です。
単なる感情的な反論ではなく、
「行政が認定している事実」
↓
「実際の事実」
↓
「適用される法令」
↓
「法令上の要件」
↓
「今回の行政指導が要件に適合しない理由」
という形で整理することが重要です。
⑥ その他参考となる事項
関係資料、営業実態、過去の行政とのやり取り、証拠資料など、判断に必要となる事項を整理します。
5.風営法の案件では「事実認定」が重要です
風営法の行政対応では、単に条文を読むだけでは十分ではありません。
行政側が、
「こういう事実があった」
と認定している場合、その事実認定自体に問題がないかを検討する必要があります。
例えば、
-
従業者の勤務状況
-
営業時間
-
接客の実態
-
客との関係
-
店舗設備
-
店舗内の状況
-
防犯カメラ映像
-
SNSや広告
-
売上資料
-
契約書
-
従業者・関係者の供述
-
警察による調査内容
などです。
したがって、行政指導への対応では、
「法令違反ではない」
と主張するだけではなく、
「そもそも行政が前提としている事実が正しいのか」
というところから検討する必要があります。
当事務所では、
事実関係の整理
→ 証拠関係の確認
→ 根拠法令の確認
→ 法律上の要件の検討
→ 行政指導の適法性の検討
→ 今後の行政処分リスクの検討
という流れで案件を整理します。
6.「行政指導」と「風営法上の指示」は別のものです
ここは非常に重要です。
風営法には、一定の場合に公安委員会が営業者に対して「指示」をすることができる規定があります。
例えば、風営法第25条は、風俗営業者に対する指示について定めています。
福岡県警察も、風営法第25条に基づく指示について不利益処分基準を公表しています。
一方、「行政指導」は行政手続法・行政手続条例上の行政指導として整理されるものです。
したがって、
行政指導の中止等の求め
と
風営法に基づく正式な指示処分に対する争い
は、同じものではありません。
すでに正式な処分が行われている場合には、聴聞・弁明・審査請求など、別の手続を検討する必要があります。
7.行政指導の中止等の求めは「万能な制度」ではありません
行政指導の中止等の求めをすれば、必ず行政指導が中止されるわけではありません。
行政機関は申出を受けた場合、必要な調査を行い、行政指導が法律上の要件に適合しないと認めるときには、中止その他必要な措置をとることとされています。
したがって、
「申出をすれば行政が必ず引き下がる」
という制度ではありません。
むしろ重要なのは、
行政指導の根拠・事実・法律上の要件を具体的に検討し、行政に対して法的な問題点を明確に示すこと
です。
8.こんな場合はご相談ください
次のような状況では、早めのご相談をおすすめします。
警察から法令違反を指摘された
「違反している」と言われたものの、具体的な根拠や事実関係がよく分からない場合。
営業方法の変更・中止を求められた
営業そのものではなく、接客方法、広告、営業時間、設備その他の営業方法について変更を求められた場合。
法令上の根拠がよく分からない
「警察から言われたから従うしかない」と考える前に、何を根拠としているのかを確認する必要があります。
事実関係に誤りがある
警察側が把握している事実と、実際の営業実態が異なっている場合。
行政処分につながる可能性がある
行政指導を受けた後、
「次は営業停止になるのではないか」
「許可取消しまで進むのではないか」
と不安を感じている場合。
この段階では、処分が出てからではなく、処分前の段階で対応を検討することが重要です。
9.当事務所の対応
行政書士 香椎綜合法務事務所では、風営法に関する行政対応について、単に行政機関との連絡を代行するだけではなく、
① 初動調査
行政から指摘された内容、営業実態、関係者、証拠資料等を確認します。
↓
② 事実関係の整理
行政側が認定している事実と、実際の事実関係を整理します。
↓
③ 根拠法令の確認
行政指導がどの法令・条項を根拠として行われているのかを確認します。
↓
④ 法律上の要件の検討
その法令が定める要件と、実際の事実関係を照らし合わせます。
↓
⑤ 行政指導への対応方針の検討
行政指導を受け入れるべきなのか、説明・資料提出等によって対応すべきなのか、行政指導の中止等の求めを検討すべきなのかを判断します。
↓
⑥ 必要に応じた行政手続への対応
その後、正式な指示・営業停止・許可取消し等の手続に進む場合には、聴聞・弁明・審査請求等の手続も含めて、段階に応じた対応を検討します。
10.「処分されてから」では遅い場合があります
風営法の行政処分については、行政指導の段階から対応することが重要な場合があります。
・行政側がどのような事実を把握しているのか。
・どの法令を問題としているのか。
・どのような処分を想定しているのか。
・処分基準との関係はどうなのか。
こうした点を早い段階で確認することで、その後の対応方針が変わる可能性があります。
福岡県警察では、風営法に基づく指示、許可取消し、営業停止命令等について処分基準を公表しており、近年もその基準の改正が行われています。
そのため、行政指導を受けた場合には、
「とりあえず従う」
だけではなく、
「何を根拠として、どのような事実を前提に、何を求められているのか」
を確認することが重要です。
11.行政指導から行政処分まで、一連の流れとして対応します
風営法の行政対応は、一つの手続だけを見て判断することができない場合があります。
予防
風営法コンプライアンス顧問
↓
行政対応
警察からの立入・呼出し・指摘等への初期対応
↓
行政指導
行政指導の内容・根拠・事実関係を確認
↓
行政指導への対応
必要に応じて説明・資料提出・行政指導の中止等の求めを検討
↓
不利益処分前
聴聞・弁明
↓
行政処分
指示・営業停止・許可取消し等
↓
処分後
審査請求等
当事務所では、このように処分前から処分後までを一連の行政手続として捉えて対応することを重視しています。
12.行政指導を受けたら、まず確認してください
警察等から風営法違反を指摘された場合、次の点を確認してください。
□ 誰から指摘を受けたのか
□ いつ指摘を受けたのか
□ 具体的に何を求められたのか
□ 口頭での指摘なのか、書面があるのか
□ どの法令・条項が問題とされているのか
□ どのような事実が問題とされているのか
□ その事実認定に誤りがないか
□ 行政指導なのか、正式な処分なのか
□ 今後、指示・営業停止等につながる可能性があるのか
□ すでに聴聞・弁明等の手続に入っているのか
□ 提出を求められている資料は何か
□ 期限はいつなのか
行政対応では、初期対応がその後の手続に影響することがあります。
「警察から言われたから、とりあえず従った」という対応をする前に、一度ご相談ください。
13.行政指導の中止等の求めをご検討の方へ
行政指導の中止等の求めは、行政に対して単に「納得できない」と伝えるための制度ではありません。
重要なのは、
事実認定
↓
根拠法令
↓
法令上の要件
↓
要件への適合性
↓
行政指導の適法性
を具体的に検討することです。
特に風営法の案件では、行政側が把握している事実関係と実際の営業実態を正確に確認したうえで、処分基準等も含めて今後のリスクを検討する必要があります。
行政指導を受けた時点であれば、まだ正式な不利益処分に至っていないケースもあります。
「営業停止や許可取消しになるのではないか」
と不安を感じている方は、できるだけ早い段階でご相談ください。
14.関連ページ
風営法の行政処分
風営法における行政処分の全体像、処分前から処分後までの対応について解説しています。
風営法の聴聞
営業停止や許可取消しなどの不利益処分を受ける前に行われる聴聞について解説しています。
風営法の弁明
聴聞以外の不利益処分における弁明の機会について解説しています。
風営法の営業停止
営業停止処分の根拠、処分基準、処分量定、対応方法について解説しています。
風営法の許可取消し
許可取消しに至る要件や手続、処分後の対応について解説しています。
風営法の審査請求
営業停止・許可取消し等の行政処分を受けた後の審査請求について解説しています。
風営法コンプライアンス顧問
行政処分を受けてから対応するのではなく、日常の営業管理・行政対応・予防法務まで継続的にサポートします。
行政処分・審査請求の報酬
初動調査、聴聞・弁明、審査請求等の報酬についてご案内しています。
ご相談ください
警察から風営法違反を指摘された場合、
「まだ処分ではないから大丈夫」
とは限りません。
行政指導の段階で、
何が問題とされているのか。
その根拠は何なのか。
事実認定に誤りはないのか。
今後、どのような行政処分につながる可能性があるのか。
を確認することが重要です。
行政書士 香椎綜合法務事務所では、風営法に関する行政指導・聴聞・弁明・行政処分・審査請求について、段階に応じた行政手続のサポートを行っています。
行政からの指摘を受けた段階で、できるだけ早くご相談ください。
「何を言われたのかよく分からない」
「この指導には法的な根拠があるのか」
「営業停止になる可能性があるのか」
という段階からでもご相談いただけます。
処分されてからではなく、処分に至る前から。
行政処分に適正手続で向き合い、依頼者の権利利益を守るための行政手続をサポートします。
※初回の電話相談は無料です。
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特定行政書士 樋口 真